NCロードスターの取扱説明書に記載されたエンジンオイルの交換時期は、通常の使用状況で「15,000kmまたは1年ごと」、過酷な使用状況を想定したシビアコンディションで「7,500kmまたは6か月ごと」となっています。意外と持つんですね純正オイル。
ところでサーキットを走行するようなウルトラシビアコンディション(鈴木が勝手に命名)では明確な交換基準がありません。
一説にはエンジンオイルが所期の性能を維持できるのは最初の100km程度と言う話もあるし、かと言ってルマン24時間レースでは注ぎ足しで5,000kmも全開だし(半数近くは壊れますが…)、本当のところはどれくらいの耐久性があるのか謎だらけです。
純正オイル(新品)でサーキットを走行したからと言ってエンジンが壊れたなんて話は聞いたことがないし、現実的には入っていれば問題ないのかもしれません。でもイコールコンディションのノーマルエンジンで戦うNゼロレースでは、新車時のエンジン性能を維持することが最重要課題。最低でも100%化学合成オイルを使うようにしています。
しかし難解なのが交換時期。劣化は目で見ても分かりません。油圧での判断も微妙です。触っただけで粘度低下が分かるようになるまで使うのは論外です。走り系の雑誌でさえ3,000km走行で交換なんて書いてあったりしますが、その過程のどのくらいを過酷な状況で使用したかが分からないのに距離で判断するのは危険だと思います。
一般論であり正否は不明ですが、エンジンオイルの成分は120℃を超えると急激に劣化するという説があります。これなら数値で確認できるので単純明快。自分の場合は、サーキット走行中の油温が120℃を超えたら交換と決めています。(走行時間は最大2時間)
ところでレーシングユースでもOKとうたっている市販のエンジンオイルは、安くても4リッター缶で8,000円くらい。いかにも高性能っぽいブランド品などは12,000円前後と高価です。貧乏プライベーターは、リッター当たり2,000〜3,000円もするようなエンジンオイルをホイホイと交換することはできません。
事の経緯はSTEP 35内の「前日のメンテナンス」を見ていただくとして、前回と前々回の練習で使用したエンジンオイルは、廃盤となったSUNOCO ULTRA SYNTHETIC 5W-30。サーキット走行時の油温は、気温25℃のときに20周して120℃。その後、不安に駆られて安いエンジンオイル添加剤を規定量の半分だけ注入しましたが、気温22℃のときに29周して118℃でした。練習ならこれで十分。
で、ULTRA SYNTHETIC 5W-30の後継に当たるSvelt 5W-30を購入してしまいました。落札価格は20リッター缶で14,400円。送料500円と決済手数料795円を加えてもリッター当たり785円です。これなら油温上昇のたびに交換してもかなりの負担減。まあ、壊れたら笑ってください。
SUNOCO Svelt 5W-30
と言うことで前回の走行からの変更点はエンジンオイルのみ。
走行距離: | 13,200km | (累計684周) |
エンジンオイル: | SUNOCO Svelt 5W-30 | (新品) |
ミッションオイル: | Red Line MT-90 (75W-90) | (累計29周) |
デフオイル: | WAKO'S 5120LSD (80W-120) | (累計92周) |
ブレーキフルード: | WAKO'S DOT4 | (エア抜きのみ) |
ブレーキパッドF: | エンドレス@238周→左右逆49周 | (累計287周) |
ブレーキパッドR: | エンドレス@ | (累計330周) |
タイヤL: | AR99周→L119周→逆R78周→L92周 | (累計388周) |
タイヤR: | @L105周→R172周→逆L20周→R173周 | (累計470周) |
※一人で出撃したので走行中の画像がありません。
今回の目的は予選時の空気圧見直しです。自分の走り方の場合、30分枠の練習直後の温間空気圧が2.5〜2.6kg/cm2となる冷間設定のとき、最初の2〜3周目でベストタイムをマークし、その後はタイムが下降線という傾向にありました。それより高くても低くてもダメ。
ところが前々回の練習では30分枠の最後にベストラップが出ています。原因不明なんですが、もしかして自分の走り方がいつの間にか変わっていて、タイヤへの入力も変わっているのかもしれません。
前回の練習ではドライバー交代のため、6周のフルアタック後にピットイン。そのときの温間空気圧が2.3kg/cm2、このまま走り続けると30分で2.5〜2.6kg/cm2まで上昇する設定です。もし走り方に変化があったとすると、前半で2.5〜2.6kg/cm2になるような設定にしたらどうなるのでしょうか?
1本目を高目、2本目を今まで通りの設定で比較検証です。
土日が晴れとなる天気予報が当たった場合の筑波サーキットは満員御礼で駐車するスペースさえなし。
満員御礼のパドック
前回の練習と気温はほぼ同じ。路面温度は若干低いようですが、同じコンディションと考えて問題ないでしょう。その時は冷間で1.9kg/cm2に合わせた左フロントの空気圧が6周で0.4kg/cm2上昇しています。
ここから逆算し左フロントを2.1kg/cm2に設定。1〜2周目、なんか乗りづらい。タイムは1分11秒台でダメダメ。ところが4周目、過去ベストとなる1分9秒693をマーク。「マジっすか!」
気合を入れて攻め続けてみますが、10秒6、10秒4。「さっきのタイムは何?」と思ったところで前方を走行していたインプレッサが2ヘアを真っ直ぐに突進し、スポンジバリアに乗り上げるほどの大クラッシュ!
慌てて減速するとフロントタイヤが「ズルッ」。オイルです(のちに冷却水と判明)。あぶねー、インプレッサのクラッシュを見なかったら自分が逝ってました。ここで赤旗中断。
バックストレートに出るとフロアの下から大量の液体を垂れ流しながらゆっくりと走行するBMW。犯人はコイツか! っていうか気付いたんならコースを汚す前にグラベルに車両を停めろってーの!(怒)
天候: | 晴れ |
気温: | 22.6℃ |
路面温度: | 36℃ |
周回数: | 6 |
ベストタイム: | 1'09.683(4周目) |
油温: | 110 |
水温: | 80 |
空気圧(kg/cm2) | 表面温度(℃) | |||||
冷間 (走行前) |
温間 (走行後) |
冷間内側 | 冷間外側 | 温間内側 | 温間外側 | |
FL | 2.1 | 2.55 | 27 | 28 | − | − |
FR | 2.2 | 2.55 | 29 | 31 | − | − |
RL | 2.2 | 2.55 | 29 | 30 | − | − |
RR | 2.3 | 2.55 | 32 | 35 | − | − |
ちょうど上昇途中の空気圧を測定しようと思っていたのでピットイン。空気圧は4輪とも2.55kg/cm2でした。(今まで小数点第二位以下は四捨五入していましたが、今回からもう少し細かくしてみます。)
その後、赤旗解除となりましたが、オイル処理のオガクズを嫌って走行終了。あとで知ったのですが、BMWがぶちまけたのは冷却水だったようでオイル処理は無し。走ればよかった。しかも8分延長。ガッカリ…。(涙)
1本目は赤旗で走行をやめてしまったので、最終的な空気圧上昇のデータも採れていません。表面温度も測り忘れ。2本目は従来の空気圧との比較をする予定でしたが、1本目のタイムに気をよくしていたので、さらに高い空気圧にトライです。と言っても0.1kg/cm2アップですが。
で、過去最大の空気を充填。ものすごく乗りづらいです。立ち上がりでリアが滑り出して踏めません。それなのに最初から10秒フラットが出てるのが不思議です。7周走ってピットイン。空気圧を測定すると4輪とも2.65kg/cm2(温間@)。リアのみ2.5kg/cm2に落として(温間A)ピットアウトです。
リアタイヤは落ち着きを取り戻しましたがタイムダウン。乗りやすさとタイムが一致しない結果となりました。最終的にフロントが2.75kg/cm2、リアが2.6kg/cm2となりました(温間B)。
天候: | 晴れ |
気温: | 20.7℃ |
路面温度: | 30℃ |
周回数: | 16 |
ベストタイム(前半) | 1'10.017(2/7) |
ベストタイム(後半) | 1'10.352(8/9) |
油温: | 115℃ |
水温: | 85℃ |
空気圧(kg/cm2) | 表面温度(℃) | ||||||
温間@ | 温間A | 温間B | 冷間内側 | 冷間外側 | 温間内側 | 温間外側 | |
FL | 2.65 | 2.65 | 2.75 | 26 | 26 | 59 | 66 |
FR | 2.65 | 2.65 | 2.75 | 27 | 28 | 56 | 55 |
RL | 2.65 | 2.5 | 2.6 | 28 | 28 | 61 | 56 |
RR | 2.65 | 2.5 | 2.6 | 31 | 38 | 59 | 49 |
走行後のタイヤの温度が低いのは、クーリングラップで前走車が考えられないくらいユックリ走ったためと思われます。またしてもデータ採り失敗。そろそろスポ走枠にステップアップしないとダメっぽいですね。
現在の乗り方(分析できていません)だとパンパンの空気圧の方がタイムが出るようです。でもコントロールしきる自信がありません。しばらくは予選の一発だけパンパンで、決勝は今まで通りがイイみたいです。
激安エンジンオイルは予想外に優秀。と言っても量販店での実売価格はCastolやBPの同グレードとほぼ同じなんですよね。
左右のローテーション後51周、累計で309周した結果です。今回は22周しかしていないのに磨耗量が1ミリと多目。センターの溝も消えたし、ボロボロだし、そろそろ限界かも。ここまでの耐久性はマツスピブランドの3倍です。
今回の 周回数 |
累計の 周回数 |
測定個所 | 走行前残量 (mm) |
走行後残量 (mm) |
磨耗量 (mm) |
---|---|---|---|---|---|
22 | 309 | 右フロント外側外周 | 8.0 | 7.0 | 1.0 |
右フロント外側内周 | 9.0 | 8.0 | 1.0 | ||
右フロント内側外周 | 9.0 | 8.0 | 1.0 | ||
右フロント内側内周 | 8.5 | 7.5 | 1.0 | ||
左フロント外側外周 | 9.5 | 8.5 | 1.0 | ||
左フロント外側内周 | 10.0 | 9.0 | 1.0 | ||
左フロント内側外周 | 9.0 | 8.5 | 0.5 | ||
左フロント内側内周 | 9.0 | 8.0 | 1.0 |
新品パッドの厚み: 15mm、推奨交換時期: 10mm
筑波サーキットを309周したフロントパッド
フロントパッドの耐久性に満足し、しばらくサボっていたリアパッドに目を移すと右側に較べて左側が妙に減ってるし。
右リアパッド
左リアパッド
ウカツでした。リアパッドは左右均一に減るものと勝手に思い込んでました。やはりコーナー進入時のブレーキの残し方が原因でしょうか? もしかして右回りのサーキットは、右タイヤより左タイヤの方が遠回りするからでしょうか?
累計の 周回数 |
測定個所 | 新品の厚み (mm) |
現在の厚み (mm) |
磨耗量 (mm) |
---|---|---|---|---|
352 | 左リア外側外周 | 14.0 | 7.0 | 7.0 |
左リア外側内周 | 14.0 | 9.0 | 5.0 | |
左リア内側外周 | 14.0 | 9.0 | 5.0 | |
左リア内側内周 | 14.0 | 8.5 | 5.5 | |
右リア外側外周 | 14.0 | 11.0 | 3.0 | |
右リア外側内周 | 14.0 | 11.5 | 2.5 | |
右リア内側外周 | 14.0 | 11.0 | 3.0 | |
右リア内側内周 | 14.0 | 11.0 | 3.0 |
推奨交換時期: 10mm
マツスピブランドのリアパッドはまったく減りませんでしたが、エンドレスの左リアパッドはちゃんと仕事をしているようで、フロントと同じくらいの磨耗進行です。ローテーションでは補いきれない残量なので速攻で新品を発注です。
合同練習会に備えて、フロントを43周しかしていない2セット目のパッドに交換しようとピストンを戻したらダストブーツがめくれてしまいました。押し込んでも元の形状に戻りません。
熱で硬化してボロボロです。前回はとりあえず大丈夫そうだったのでシーズンオフに交換しようと思ってたら、今回の練習で力尽きたようです。なんてこった。
ブレーキピストンのダストブーツがボロボロ
早速ディーラーへ発注。ダストブーツ単品じゃ出ないそうで、リペアセットにはピストンシールやガイドピンブーツやグリース、そしてまったく必要のないブリーダーキャップまで付いてくるそうな。なんじゃそのセットは! もう少し考えてよマツダさん。
こりゃあ、今度の休みはフロントブレーキのオーバーホールですな。ま、それもいいか。
トップページ | 目 次 | 前のページ | 次のページ |
Copyright © 1999-2009 Factory Suzuki. All rights reserved.