STEP 32 実験好き 〜タイヤの表面温度A〜

Release Date: 2007/08/25

前回の練習からタイヤ表面温度の測定を始めました。きっかけはパーティレース対応スプラッシュシールドの効果の確認。今までタイヤの空気圧セッティングは、外気温と路面温度をベースに決定していました。これに表面温度が加わるとどうなるのでしょう?

筑波サーキットでスポーツ走行をしているチームを観察していると、FJなどフォーミュラカーのメカさんがピットインのたびにタイヤの表面温度を測定しています。しかしハコ車の場合、空気圧の確認は行うものの、温度まで測定している光景を目撃することはありません。(気が付かないだけ?)

ましてパーティレースのコントロールタイヤは、指定の温度領域を持つスリックタイヤやSタイヤじゃなく、一般公道を走行することを前提としたスポーツラジアルのRE-01Rです。市販のスポーツラジアルを使うハコ車レースにタイヤの温度管理はムダなのかもしれません。でも気になってしまった以上は実験開始です。


実験出撃


■非接触タイプの温度計

前回温度測定に使用したのは、専用の温度計じゃなく、温度計の機能を持った自動車用マルチメーター。測定する物にプローブを押し当てる接触タイプです。

しかしこのメーターの温度計機能、測定にものすごく時間がかかり、走行後のタイヤ温度のように瞬時に測定しなければならない状況では使い物になりません。

そこで新兵器登場。物質が放射する赤外線を検知して温度を計測する非接触タイプの温度計です。商品名はサーモメーター。安物(¥3,980)なので270℃までしか測定できませんが、タイヤ温度の測定に限定すれば問題なし。


サーモメーター



■2007.8.25 一般公道で実験

実はこの手のデータ採りは初めての経験で、ナニがどーなるのかまったく理解してません。実戦投入前に一般公道を走行して測定です。

まずはメーカー指定の空気圧で冷間の温度を測定し、一般公道を流れに乗って走行してきます。ふつーの走行での空気圧や表面温度の上昇は「どんだけぇ〜」って感じ。

出撃準備が整ったところで晴れてきました。気温も上昇していい感じ。


気温の測定はマルチメーター

ウチの車両のキャンバーは前後とも付けられるだけ付けてます。と言っても吊るしの純正足なので、さほど付きません。フロントが−1°31’でリアが−2°55’、これで目一杯。多少なりともキャンバーが付いてるってことはタイヤトレッドの内側と外側で仕事量が違うハズ。

そして一般公道を5km/15分で走行した結果がコレ。基本データってところですね。

[コンディション]
天候: 晴れ
気温: 35.3℃
路面温度: 47℃

[タイヤデータ]
  空気圧(kg/cm2 表面温度(℃)
冷間 温間 冷間内側 冷間外側 温間内側 温間外側
FL 2.0 2.1 33 33 44 42
FR 2.0 2.1 33 33 47 44
RL 2.0 2.1 33 33 42 39
RR 2.0 2.1 33 33 44 39

フロントの内側が一番上昇するようです。右タイヤの方が温度が高いのは、一般公道って左曲がりの半径が小さいからだと思います。トレッド内側の方が温度が高いのはキャンバーのせいでしょうか?

フロントが平均で約11℃の上昇、リアが約8℃の上昇です。

測定はこんな感じ。レーザーポインターが当たっている部分の温度が一瞬で表示されます。


サーモメーターで測定

次は空気圧を2.6kg/cm2で同じルートを走行。ガレージに戻ったら4輪を2.5kg/cm2に合わせてしばらく休憩。トレッドの内側と外側の温度が同じになるまで自然冷却です。約20分かかりました。ウチのガレージはコミックだらけなのでいくらでも時間を潰せます。(笑)


漫画ガレージ

そしてまた出撃。これが温間で2.5kg/cm2の結果です。

[コンディション]
天候: 晴れ
気温: 31.4℃
路面温度: 50℃

[タイヤデータ]
  空気圧(kg/cm2 表面温度(℃)
冷間 温間 冷間内側 冷間外側 温間内側 温間外側
FL 2.5 35 35 47 44
FR 2.5 36 36 52 48
RL 2.5 37 36 48 41
RR 2.5 37 36 48 44

フロントが平均で約12℃の上昇、リアが約9℃の上昇です。

で、空気圧を2.0kg/cm2に合わせてまた休憩。トレッドの内側と外側の温度が同じになったところで出撃します。

これが温間で2.0kg/cm2の結果です。

[コンディション]
天候: 晴れ
気温: 31.1℃
路面温度: 50℃

[タイヤデータ]
  空気圧(kg/cm2 表面温度(℃)
冷間 温間 冷間内側 冷間外側 温間内側 温間外側
FL 2.0 35 35 46 44
FR 2.0 36 36 50 47
RL 2.0 39 38 48 44
RR 2.0 37 36 47 43

フロントが平均で約11℃の上昇、リアが約8℃の上昇です。

誤差の範囲かもしれませんが、空気圧が高い方が表面温度の上昇が大きいようです。フロントの方が表面温度が高くなりますが、下降時間が短いんですね。リアはなかなか元の温度に戻りません。

素人考えですが、フロントはコーナリング時の摩擦で表面温度だけ上昇しますが、リアは駆動力で内部から温められてるのではないでしょうか? この結論が合っている保証はありませんけど。

さあ、明日はサーキットで実戦のデータ採りです。楽しみ〜!

価格及び規定に関する記述はリリース当時の内容です。現在とは異なる場合がありますのでご注意ください。



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