マルチインフォメーションタイマー


一般的に軽自動車は、130〜140km/hでお仕置き装置(スピードリミッター)が作動します。うちのスズキKei(HN22S)は、134km/hでこいつが作動し、そのまま踏み続けると一旦130km/hまで落ち、130〜134km/hの間を行ったり来たりします。

公道上だとこのスピード域は違法となりますし、まして軽自動車でこれ以上のスピード域を巡航する気にはなりませんが、サーキットでは致命的な機能です。

で、装着したのはデータシステム製のマルチインフォメーションタイマーMIT350。メーカーさんのお品書きを引用すると、「フルオートターボタイマーにデジタルメーターを融合させた、ハイテクスポーツアイテム」だそうです。

一番の目的はスピードリミッターの解除機能ですが、選択のポイントはピークホールド付きのスピード&タコメーター機能。設定したスピードや回転数を超えると警告を行うワーニング機能付き。そう、シフトアップインジケータになるんです。


実売価格¥9,800

取付けには車種別専用ハーネスを使用しますが、購入店(黄色帽子)にはデータシステム社のハーネスなんて一本も置いてなくて注文とのこと。その場でパッケージを開けて調べてみると、サンヨーテクニカ社のエンジンスターター(STARBO)用のハーネスとコネクターの形状が同じ。「合わなかったら改造すりゃいいや」と、そいつを購入。

持ち帰ってビックリ。コネクターの形状と取り出している信号(BATT、IG、ACC)の配列、そして配線の色まで同じ。

早速ステアリングコラムのカバーを外して、ハーネスを取付け。


ステアリングコラム左側のコネクターから専用ハーネスで電源を取出し。

次がイグニッションパルスとスピードパルスの取出し。これはエンジンコンピューターのコネクターから取り出すように記載されています。ところが、付属の説明書にHN22Sの配線は記載なし。

近所のディーラーで整備書を見せてもらったところ、一連のKeiシリーズはコネクターの形状・端子数に関係なく、茶色のケーブルがイグニッションパルス(整備書ではエンジン回転信号)、紫色のケーブルがスピードパルス(整備書では車速信号)でした。

ところでこのスズキKei、エンジンコンピューターがエンジンルームにあるんです。信号を取り出すにはバルクヘッドを介さなければなりません。それじゃ大変なんで、エンジンコンピュータのコネクター以外のところから信号を取り出せないかと探してみます。

まず、グローブボックスの取外し。グローブボックス右奥のグロメット中央を押し込んで外します。


グローブボックスは右奥のグロメットが支点となって開閉します。

ありました。エンジンコンピューターからのケーブルです。イグニッションパルスとスピードパルスは右側のコネクターに接続されています。ここでも茶色のケーブルがイグニッションパルスで、紫色のケーブルがスピードパルス。

イグニッションパルスケーブルには、信号を取り出すだけなのでエレクトロタップで接続します。スピードパルスケーブルには、スピードセンサーとエンジンコンピュータの間にマルチインフォメーションタイマーを割り込ませるため、ケーブルを「ブチッ!」と切断してギボシ端子を取り付けます。


グローブボックス裏のコネクター

本体は灰皿を外して装着。いい感じです。


灰皿は市販品を別の場所へ取り付けました。

ところが問題発生。回転数は正常に表示しますが、スピードがゼロのまま。車両側のスピードメータも動きません???。

切断したスピードパルスケーブルを接続し、信号を取り出すだけの接続をすると、リミッター解除機能を除いてすべての機能が正常に動作します。想像ですがスピードパルスの経路は、下図のようになっていると思われます(多分当たり)。グローブボックス裏のコネクターは、スピードメーターのコネクターだったようです。

今回はマルチインフォメーションタイマーを、(A)の部分にスピードメーターからトランスミッション方向に割り込ませた形になったんじゃないでしょうか?


スピードパルスの経路

で、仕方なく(B)の部分へ割り込ませました。イグニッションパルスの取出しは、前述のままです。

スピードリミッター機能を使わないなら、室内から取り出せるってことですね。


コンピューター側を「ブチッ!」

今度はバッチリ。すべて正常。走った後にデータを呼び出せるので、サーキットでのデータ採りは完璧。


最高速のピークホールド表示


最高速をマークしたときの回転数

じゃあ次のステップ。シフトインジケータの製作です。オプション品の外部警告ランプは、(小)→カッコ悪い、(大)→たかがLEDに¥5,000のプライス、ってことで自作にチャレンジ。


パッケージ横のOPTION表示

■ここからは怒りのお話。

メーカーに接続できる外部警告ランプの仕様を尋ねたところ、以下の回答が。

「外部警告ランプですが、市販の電球にて代用が出来ませんので、別売りの専用の外部警告ランプにて取付をお願いいたします。市販のランプを製品に取付けた時点で、製品の保証が出来なくなりますので、ご注意をお願いいたします。」

仕方ないんで(大)の方を発注たら生産中止の回答。

「ふざけんなよっ!」

販売店への連絡もホームページでの告知もなし。売りっぱなしってこと? このメーカーの製品は二度と買わないな。(怒)

■後日談

メーカーへ怒りをぶつけたら、ホームページへ告知されました。ひでぇー対応。

さらにがっかりしたのは、先日発表されたKei Sport CUPの2003年レギュレーション。以下の条文が追加になっていました。

「性能の向上や各種リミッターを解除する機能の付いた電子パーツ及びデータロガーの装着は一切許されない。レース以外の際にこれらのパーツを装着する場合は、ギボシ端子、コネクター等の恒久的な配線接続を行ないレース時には取り外すこと。」

踏んだり蹴ったり...。(涙)


■2008.12.30

ワルキューさんちへ嫁ぎました。